連休が終わる月曜の朝、「仕事に行きたくない」「気分が重い…」と感じるのは、とてもふつうのことです。休み中に夜更かしや朝寝坊で生活リズムがずれたこと、楽しい時間から日常に戻る気持ちのギャップ、たまった仕事や人間関係の不安が重なると、だれでもブレーキがかかります。これは“性格の弱さ”ではなく、体と心の自然な反応です。
本記事では、そんな「連休明けのつらさ」をやさしい言葉でほどきながら、今日から使える対処法をまとめました。前半では「なぜ行きたくなくなるのか?」を睡眠・体内時計・気持ちの反動・職場要因の4つに分けて解説。後半では、朝起きてから出社直後までに効く即効ワザ10選、そして72時間(3日間)で生活リズムを戻すルーティンを、時間帯ごとの手順で具体的に示します。
さらに、
- 連休最終日の“ハードルを下げる”準備術
- 在宅勤務・新入社員・交代勤務などケース別のコツ
- 「休むべき?」「辞めるべき?」の判断基準と連絡テンプレ
- 相談に使える公的窓口と社内制度
も一つの記事にぎゅっと整理。読みながらできそうなことを2~3個だけ選んで実行すればOKです。
「五月病かも?」と不安になりがちな時期ですが、まずは光・睡眠・カフェイン・段取りの4本柱を整えるだけで、体は驚くほど楽になります。つらさが長引く、日常に支障が出る、といった場合は無理をせず相談してください。あなたのペースで、月曜の一歩を軽くしていきましょう。
休み明け「仕事に行きたくない」はなぜ起こる?原因とメカニズム
連休明けに「仕事行きたくない」「気分が落ち込む」と感じるのは、とても自然な反応です。休み中の生活リズムの乱れや、楽しい時間から日常へ戻るギャップ、職場のストレスが重なると、心も体も“ブレーキ状態”になります。
ここでは専門用語をできるだけ使わず、起きていることをやさしく整理します。あとで紹介する「72時間リカバリー計画」で元に戻せることが多いので、まずは原因をつかみましょう。
睡眠負債と「体内時計」のずれ
休み中は夜更かし・朝寝坊になりがち。すると体の中の時刻表(体内時計)が後ろにズレ、連休明けや月曜の朝にうまく“起動”できなくなります。体内時計は脳の中枢で1日のリズムを作っており、朝の光や朝食で整いやすく、夜遅い飲食は乱れの原因になります。
厚生労働省の資料でも「朝の日光」「朝食」「就寝前はリラックス」がリズム調整に役立つと示されています。
つまり、連休後にだるいのは“意志が弱いから”ではなく、体の時計が後ろにずれているだけ、ということが多いのです。
「楽しい⇒日常」ギャップの反動(コントラスト効果)
旅行・趣味・ゆっくり睡眠など“ご褒美モード”のあと、予定や期限のある“お仕事モード”へ急に戻ると、同じ仕事でも重く感じます。これは心の自然な揺れで、いわば“反動の憂鬱”。
いきなり完璧に戻そうとせず、最初の1~2日はハードルを低めにするだけでも、気持ちは軽くなります(具体策は後半の対処編で詳しく紹介します)。
職場のストレス要因(量・人間関係・評価不安)
「やることが多すぎる」「慣れない仕事」「人間関係が気になる」「評価が心配」など、仕事側の要因が重なると休み明けは特につらく感じます。ひとりで抱え込まないことが大切。
厚生労働省の『こころの耳』では、働く人向けのセルフケア教材や匿名相談の窓口も案内されています。必要なら社内の上司・人事・産業医に早めに相談しましょう。
「五月病」「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」の違い
- 五月病:新年度の変化や疲れがGW明けに出る“呼び名”。医学の正式病名ではなく、背景に適応障害やうつ症状が隠れていることもあります。長引く場合は医療機関で相談を。
- サザエさん症候群:日曜夕方〜夜に憂鬱になるという日本独特の通称。番組名に由来する俗称で、医学用語ではありません。
- ブルーマンデー:休み最終日の夕方〜月曜朝に気分が落ちる状態の一般呼称。これも医学用語ではなく、広く使われる言い方です。
受診や相談を考える目安
次のサインがほとんど毎日、2週間前後続く、または生活に支障が大きい/危険がある場合は、早めに専門家へ相談してください。
- 眠れない・日中の強い眠気が続く、食欲が極端に変わる
- 何をしても楽しくない、気力が出ない、焦りや不安が強い
- 自分を傷つけそうな考えが頭から離れない など
働く人向けの公的な相談窓口や医療機関検索は『こころの耳』にまとまっています。睡眠の問題は気分にも影響することが公的資料でも示されています。無理せず頼りましょう。
72時間で生活リズムを戻す基本戦略(3日間の回復ロードマップ)
連休明けに「仕事行きたくない」と感じる大きな理由は、休み中に後ろへズレた体内時計と、夜ふかし・朝寝坊でたまった“睡眠の借金”。
ここでは3日=72時間で元に戻すための具体ステップを、朝・日中・夜の順に並べました。
ポイントは①朝の光と②夜の光を弱める、③就寝1〜2時間前の入浴、④カフェインの“時間と量”。
根性ではなく仕組みで整えます。厚労省の睡眠ガイドやe-ヘルスネットが推奨する基本も、この流れに一致します。
DAY1|朝の光・朝食・軽運動・カフェインの使い方
- 起きたら“まず光”:カーテン全開、ベランダや玄関先に1〜5分出る、通勤で日光を浴びる。朝の強い光は体内時計をリセットし、脳の覚醒度を上げてくれます(できれば日中も明るい環境)。スマホの強い光は夜に回さないよう設定も見直しを。
- 朝食で“活動モード”に:たんぱく質+炭水化物を軽く(例:おにぎり+卵/ヨーグルト+バナナ)。夕食は遅く重くなり過ぎない工夫を。
- 5〜15分の軽い運動:速歩き、階段1〜2フロア分、ラジオ体操。日中の活動量が増えると、夜の寝つき・眠りの深さが改善しやすいことが示されています(就寝直前の激しい運動は避ける)。
- カフェインは“早め・少なめ”:1日の上限は400mgが目安(コーヒー約700ml相当)。就寝5〜6時間前からは控えると安心。夕方以降の摂取は夜の眠りに響きやすいので15時以降はデカフェに。
- 夜は“入浴→クールダウン→就寝”:就寝1〜2時間前の入浴で体を一度温め、その後の放熱で眠気が高まり寝つきがラクに。照明は暖色・控えめに。
DAY2|通勤設計と“低ハードルタスク”で勢いを作る
- 通勤=光浴タイム:歩く・一駅だけ地上ルートにするなど、朝の光を少しでも長く。体内時計の前進(朝型化)を後押しします。
- 最初の60分は“助走メニュー”:超小さな3タスク(例:メール3通返信/机を片づける/今日のToDoを3行だけ書く)でスタート。達成感→やる気の順で回す。
- 昼食後の眠気は“短い仮眠”で:15分前後のパワーナップなら回復に有効。長く寝すぎると夜の睡眠に悪影響。仮眠は15時前までに。
- 夕〜夜の整え方:夕食は遅すぎ重すぎ回避(帰宅後の“分食”も手)。入浴は就寝1〜2時間前、スマホやPCはナイトモード+照度ダウン。
DAY3|夕方のだるさ対策と“睡眠ルール”の固定化
- 起床・就寝の“固定”:休日含め**±1時間以内**にそろえると体内時計が安定。規則正しい生活がリズム調整の近道です。
- 夕方のリバウンド対策:屋内でも明るめの光・短い散歩・ストレッチで再点火。カフェインはこの時間帯以降は避ける。
- 夜の環境:寝室は暗く静かに。強い光(特にブルーライト)はメラトニンを抑えて入眠を遅らせます。照明は落として暖色に、スマホは寝室に持ち込まない。
やってはいけないNG習慣(リズムが戻りにくくなる)
- 長い昼寝(30分以上)や夕方のうたた寝:夜の眠りを浅くします。仮眠は短く・早い時間に。
- 夕方以降のカフェイン:夜の寝つき悪化・中途覚醒増加の一因に。上限400mg/日も超えない。
- “寝酒”や喫煙・電子タバコ:一時的に眠れても睡眠の質を下げ、中途覚醒を増やします。
- 強い照明・画面の光:夜の強い光は体内時計を遅らせます。就寝前は照明を落とし、画面は控えめに。
- 就寝直前の激しい運動:交感神経が高ぶり逆効果。運動は就寝の2〜4時間前までに。
ミニチェック(今夜から)
☐ 起床後すぐに光を浴びた/窓際に立った
☐ カフェインは15時まで・合計400mg以下
☐ 就寝1〜2時間前に入浴→部屋は暖色で薄暗く
☐ スマホは寝室の外/ナイトモード
☐ 明日の“助走タスク”を3つだけメモ
当日の朝〜出社直後の即効対処法10選
「行きたくない…」が強い“当日の朝こそ”、体を先に整える→頭を軽くする→仕事のハードルを下げるの順が効きます。以下は3〜10分でできるものばかり。まずは2~3個でOK、できたら合格です。呼吸や光、短時間の歩行、朝食のとり方などは、公的な健康情報でも推奨される基本ワザです。
即効10アクション(朝〜出社直後)
- 4-4-4-4呼吸(吸う・止める・吐く・止めるを各4秒×4回)で心拍を落ち着かせる。
- 1分マインドフルネス(目を閉じて呼吸と体の感覚に注意を向ける)。
- カーテン全開→玄関先/ベランダで朝の光を浴びる(1~5分)。
- 5分ウォーク(家の周り〜駅までを少し早歩き)。
- 水をコップ1杯+朝食(たんぱく質+炭水化物の軽食)。
- カフェインは午前中に少量(午後は控えめに)。
- 出社したら “最初の60分は「超小タスク×3」” だけやる(メール3通・机を整える・今日の3行メモ)。
- 予定は“助走→本番”の並びに入れ替える(重い会議は午後へ、午前は準備系)。
- ランチ後は15分仮眠(15時前まで)。
- 困ったら短い相談(上司・人事・産業医・公的窓口)。
呼吸法(ボックスブリージング)と1分マインドフルネス
緊張で呼吸が浅くなると、体は“戦闘モード”のまま。4-4-4-4呼吸(4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める)を2~3セット。肩が下がり、脈が落ち着きやすくなります。続けて1分だけ“今の呼吸”に注意を向けると、頭の雑音が少し静まります。呼吸を使ったリラクゼーションは、働く人向けの公的教材でも紹介される基本スキルです。
① 背中を伸ばす → ② 鼻から4秒吸う → ③ 4秒止める → ④ 口から4秒吐く → ⑤ 4秒止める → 2〜3周
5分ウォーク&日光浴で“体を先に起こす”
朝の強い光は体内時計を前に進める働きがあり、寝起きのだるさを減らします。起きたらカーテン全開、外気に1〜5分触れる、通勤は屋外を1駅ぶん歩くなど、無理のないやり方でOK。夕方以降の強い光は逆に体内時計を遅らせるので、夜は照明を落としてスマホの明るさも下げましょう。
駅までの道で“日の当たる側”を選ぶ/エレベーター→階段1階分だけ
体温・水分・栄養(コンビニで揃う対処)
寝起きは体温も水分も低め。水1杯+たんぱく質&炭水化物の軽い朝食でスイッチを入れます(例:おにぎり+ゆで卵/ヨーグルト+バナナ)。
朝食は自律神経の切り替えを助け、リズムが整いやすくなります。カフェインは午前中に少量、就寝5〜6時間前以降は控えると夜の眠りが守れます。
おにぎり+サラダチキン/全粒粉パン+無糖ヨーグルト/味噌汁(塩分少なめ)
最初の60分の設計:3タスク方式・通知オフ
「いきなり重い仕事」が、休み明けのつまずきに。最初の60分は“助走”だけに限定します。
- 3つだけ:①未読を10件以内に整理 ②机・デスクトップを2分だけ整える ③今日やることを3行で書く
- 通知は切る:午前中は通知オフ/ステータスを「集中」に。
- 会議は午後へ:午前は準備・調整・問い合わせなど負荷の低い用事で勢いを作る。
小さな達成感でギアが入ると、その後の集中が戻りやすくなります。
上司への一言テンプレ(在宅・時差出勤の切り出し方)
体調が整うまで「短く・事実ベースで」伝えるとスムーズです。必要なら勤怠や働き方の調整も検討を。公的窓口や社内相談の活用も視野に入れてください。
件名:本日の勤務形態について
お疲れさまです。今朝から体調が万全ではないため、本日は在宅での勤務を希望します。
午前中は資料整理と〇〇の確認、午後は△△の作業を進めます。必要があればオンラインで即対応します。
ご確認をお願いします。
件名:本日の時差出勤のご相談
体調を整えるため、本日は◯時出社に変更したいです。午前は在宅で**△△の下準備を行い、出社後は□□の対応**を進めます。
問題なければご承認ください。
体調不良のため本日は休養します。医療機関・社内手続きが必要な場合は指示をお願いします。明日は回復次第、出社/在宅で調整します。
当日用チェックボックス
☐ 4-4-4-4呼吸を2セット/1分マインドフルネス
☐ 朝の光を浴びた(1〜5分)
☐ 水1杯+軽い朝食/カフェインは午前だけ
☐ 最初の60分=助走3タスク/通知オフ
☐ ランチ後は**15分仮眠(15時前まで)**で回復
連休最終日の過ごし方(予防)
「明日が不安…」を軽くするコツは、前日の夜に“月曜のハードルを下げる”仕込みをしておくこと。
ここでは、難しい知識は抜きにして、睡眠・光・カフェインの基本ルールと、具体的な“段取り”をまとめます。夜の過ごし方は睡眠の質に直結します。夜は光を弱め、カフェインとお酒・スマホを控えるだけでも翌朝がラクになります。厚生労働省の公的情報でも、夜の強い光やブルーライト、就寝前のカフェイン・アルコールが眠りを悪くすることが示されています。
月曜午前の“ハードルを下げる”準備(服・資料・予定の見直し)
- 服と持ち物を前夜に固定:迷いが減ると朝のエネルギー消費が下がります(決め疲れの回避)。
- 机とカバンを“月曜の助走モード”に:最初にやる3タスク(例:①未読整理②今日の3行メモ③机を整える)を紙1枚に書いて、見える所へ。
- 月曜の予定を“助走→本番”に再配置:重い会議は午後に寄せ、午前は準備系・確認系でウォームアップ。
- 通勤プランも前夜に:屋外ルートを少し歩くなど“朝の光を浴びやすい”動線にすると、体内時計が整いやすくなります。朝の光は体内時計を前に進め、逆に夜の強い光は体内時計を遅らせます。
カフェイン・アルコール・スマホのコントロール
- カフェイン:就寝5〜6時間前以降は控える(個人差あり)。コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれ、眠りを浅くします。
- アルコール(寝酒):寝つきをよく感じても深い睡眠を減らし中途覚醒を増やすため、就寝前の飲酒は避けるのが基本。
- 夜の光・スマホ:夕方〜夜の強い光、とくにブルーライトは体内時計を遅らせ、眠気ホルモン(メラトニン)を抑えます。照明は暖色・弱め/画面は輝度を落とす・ナイトモードが有効です。
ミニチェック(寝る2時間前)
☐ カフェインはもう飲まない
☐ アルコールは控える
☐ 照明を暖色・弱めにした
☐ 画面はナイトモード&時間を区切る
楽しみの仕込み(ご褒美・ランチ約束・緩やかな予定)
- “小さな楽しみ”を月曜午前に:お気に入りのコーヒー、気になっていたパン屋、同僚との軽い雑談タイムなど、“ごほうび”を先に置くと気持ちが動きやすくなります。
- 空白時間を意図的に作る:朝イチに10〜15分の“ゆるいバッファ”があると、遅延や想定外に慌てにくい。
- 「やる気→行動」ではなく「行動→やる気」:まず体を動かし、環境を整えると、遅れて気持ちがついてきます(当日パートの“助走3タスク”とセットで)。
家族・同居人と共有する翌朝サポート
- 翌朝の流れを一言で共有:「7:00起床→7:10朝食→7:20出発。朝の皿洗いは夜に回すね」など、家事分担や起床時刻を前夜に相談。
- “声かけ合図”を決める:「カーテン開けお願い」「玄関で1分日光浴するね」など、朝の光を浴びる作戦も共有。朝の光は体内時計の調整に最重要です。
- つらい時の連絡先:無理な日が続く・強い不安がある場合は社内の産業医/人事、厚労省の『こころの耳』相談窓口など、頼れる先を家族と確認しておくと安心です。
連休最終日の“やること表”(例:日曜版)
| 時間帯 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 午後〜夕方 | 週明けの予定ざっくり確認/“助走3タスク”メモ | 重い会議は午後へ移動、朝は準備系に入れ替え |
| 18:00 | 夜ごはん(消化に良いもの、食べ過ぎない) | 遅すぎ・重すぎは避ける |
| 19:00 | お風呂(就寝の1〜2時間前) | 入浴→放熱で眠気が高まりやすい |
| 20:00 | スマホ・PCは時間を区切る/照明を暖色・弱めに | ブルーライト・強い光を減らす |
| 21:00 | 明日の服・持ち物・通勤ルートセット | “決め疲れ”を前夜に解消 |
| 22:30 | カフェインなし・ストレッチ・呼吸 | カフェインは就寝5〜6時間前にオフ |
| 23:00 | 就寝(起床・就寝は休日も±1時間以内) | リズムは“固定”が近道 |
ケース別対策|新入社員・復職直後・在宅勤務・交代勤務
連休明けのつらさは「状況」によって効く対処が少しずつ違います。ここでは新入社員/復職直後/在宅勤務/交代勤務の4タイプにしぼって、今日から使える現実的なコツと“上司への一言テンプレ”をまとめました。困ったときに頼れる公的な相談先も最後に記載します。
新入社員向け:期待値の調整と「頼る設計」
配属直後は「全部できなきゃ」の思い込みで自分を追い込みがちです。“まずは7割”で合格と決め、タスクを小分けにします。
- 朝一の台本:「今日は①〜③だけを終えるつもりです。順番の確認をお願いします」
- 頼り方の型:①自分の理解(30秒)→②確認したい点(1〜2個)→③締め切りの相談(いつまでに)
- メンター/先輩の“窓口”を1人決める:質問のハードルが下がります。
新入社員のセルフケアや事例は厚労省「こころの耳」にまとまっています。“完璧より継続”でOK。
復職直後:段階的に戻す“リハビリ勤務”の考え方
病気や不調からの復職は、いきなりフルスロットルにしないのが鉄則。就業時間・業務量・責任の重さを段階的に上げる計画(例:週数時間→半日→時短→通常)を、産業医・主治医・人事と連携して作ります。
厚労省のガイドラインは、職場の支援体制づくりや職場復帰プランの作成を推奨しています。テンプレや様式を公開する産業保健総合支援センターの資料も参考になります。
在宅勤務:切り替え装置と“終わりの儀式”
自宅だとON/OFFの境目があいまいになり、ダラダラ疲れや孤立感が出ます。
- 開始の儀式:服を着替える/5分ウォーク→机に座る/開始メモを書く
- 60分サイクル:45分作業+5分立ち歩き+10分の“整理タイム”
- 終わりの儀式:明日の3行メモ→PCを閉じる→照明を変える(色温度を下げる)
テレワークのメンタルヘルス対策は「こころの耳」の手引きが実践的。こまめな声掛け・短い1on1も有効です。
シフト/交代勤務:光・睡眠・カフェインの“タイミング”
夜勤やローテーションは体内時計と実際の生活がズレやすい働き方。交代勤務睡眠障害に配慮し、光の当て方・寝る時間帯・カフェインの時刻を整えます。
- 夜勤明け:帰路は強い日光を避ける(サングラス等)→帰宅後すぐ “90分〜” の主要睡眠→夕方前に短い仮眠(長すぎ注意)。
- 仮眠:15〜30分のパワーナップは眠気とエラー低減に役立つ。長く寝ると夜の睡眠に影響。
- カフェイン:勤務後半は控える。日本人のカフェイン代謝は半減期3〜7時間の幅があり、遅い人は夕方まで残りやすい――公的ガイドは総量400mg/日を超えない・夕方以降は避けることを推奨。
- 睡眠環境:遮光カーテン・耳栓・室温管理で“昼でも夜並み”の環境を。交代勤務で起きやすい症状やメカニズムは厚労省の解説が分かりやすいです。
相談先(公的)
- こころの耳・相談窓口:電話・SNS・メールで匿名相談が可能。全国の医療機関検索も。迷ったらまずここ。
- 社内の産業医/人事/EAP:勤務調整や業務配分の見直し、復職プランの策定に直結。
ケース別チェックリスト(抜粋)
新入社員:□ 7割合格ルール □ 相談窓口を1人決めた □ 午前は“助走3タスク”
復職直後:□ 時短/業務量の上限を明文化 □ 週1で見直し □ 医療・人事と連携
在宅勤務:□ 開始/終了の儀式 □ 60分サイクル □ 15時に10分共有
交代勤務:□ 夜勤明けの光対策 □ 仮眠は15〜30分 □ カフェインは後半オフ
「休むべき?」「連休明けで仕事を辞めるべき?」の判断基準
連休明けに強いしんどさが出たとき、今日休む? 無理して行く? いっそ辞める?―迷いますよね。
ここでは「まずは体を守る」「制度を正しく使う」「衝動ではなく計画で動く」の順で、やさしく判断できる目安と具体アクションをまとめます。日本の公的情報(厚生労働省やハローワーク)をベースにしています。困ったら社内(上司・人事・産業医)/公的窓口を早めに頼ってOKです。
休む判断の目安と“連絡テンプレ”
次のサインが強い/続くなら、無理せず休んでOKです。
- 眠れない/食欲が極端に変化/動けないほどのだるさ
- 朝から強い不安・動悸・涙が止まらない
- 2週間ほど、ほぼ毎日つづく気分の落ち込み・興味の低下
こうした状態は医療相談の対象です。働く人の公的窓口「こころの耳」では、電話・SNS・メールで匿名相談が可能。まずは安全確保が最優先です。
件名:本日の体調について
体調不良のため、本日は休養します。必要な引き継ぎがあればチャットで対応します。明日は回復状況に応じて出社/在宅を調整します。ご確認ください。
一過性の落ち込み? それとも構造的な不適合?
A. 一過性の落ち込みの可能性
- 連休明け直後のみ強い/睡眠が整うと軽くなる
- 業務内容や人間関係は大きく問題ない
→ 対処:先に出した72時間リズム回復+“助走タスク”運用で様子見。
B. 構造的な不適合のサイン(3つ以上あてはまれば、働き方や職場の見直し検討)
- 長時間労働が常態化(過労で体調不良)。長時間労働者向けの医師面接制度や産業医面談を活用できるケースがあります。
- いじめ・パワハラ・不利益取り扱い。労働局の総合労働相談コーナーやパワハラ相談窓口へ。記録(日時・発言・場所)を残すのがコツ。
- 会社の制度や文化と価値観が大きくずれて苦痛が続く
- 休暇や働き方の調整を申し出ても通らない
退職を考えるときの“安全運転”ステップ(衝動ではなく計画で)
1)情報を集める
- 就業規則(退職手続・休職・有給消化・競業避止など)を確認。
- 離職後のお金:雇用保険(失業等給付)の手続きは、離職票を受け取りハローワークで求職申込みをして進みます。離職票が届かない場合の対応も公式に案内があります。
2)ブリッジプラン(橋渡し計画)を作る
- 生活費の見通し/保険・年金の切替/医療通院の有無
- 転職活動の開始時期・学習計画・人脈づくり
3)退職の法的“最短ライン”を知る
- 期間の定めのない雇用は、原則退職の申入れから2週間で終了(民法627条1項)。一部の就業規則で「1か月前」などの内規があっても、多くの労働局は“2週間”原則を案内しています(詳細は個別事情で異なるため相談を)。
4)退職の伝え方(テンプレ)
件名:退職のご相談(希望日:◯月◯日)
私事で恐縮ですが、◯月◯日付で退職したく、ご相談です。
引継ぎ計画(案):1)業務一覧の作成 2)資料の共有 3)後任へのレクチャー(各30分×3回)
ご迷惑のないよう進めますので、日程のご相談をお願いします。
5)トラブル時は“外部”へ
- 労働条件相談ほっとライン(毎日開設、フリーダイヤル0120-811-610)で、残業代・有給・退職トラブルなどの一般相談が可能。
- 個別労働紛争解決制度(あっせん):労働局が間に入り和解を目指す手続き。
制度の基本|有給・病休・産業医面談など
- 年次有給休暇:年10日以上付与される人は、年5日を会社が“確実に取得させる”義務。取りづらいと感じたら、労働局やほっとラインへ相談を。
- 病休・休職:就業規則の定めに従います。診断書の提出で病気休職に入れる会社も。迷えばこころの耳の医療・相談先案内へ。
- 産業医面談/長時間労働者の医師面接:一定の長時間労働などで、医師による面接指導が義務づけられる制度があります。人事・総務に「面接指導を希望します」と伝えてOK。
- 労働基準監督署・総合労働相談コーナー:賃金未払い、ハラスメント、退職拒否など幅広い相談の入口。最寄り窓口の検索ページも用意されています。
ミニチェック(退職を考える前に)
☐ 72時間の回復プラン+助走タスクを試した/睡眠・光・カフェインを整えた
☐ 有給の取得や時差出勤・在宅など“緩める選択肢”を使った
☐ 産業医・上司・人事に相談した/記録を残した
☐ 生活費・手続き(離職票・雇用保険・保険年金)を試算した
☐ それでも3週間以上つらさが強く、構造的な問題が明らか
ミニチェック(今すぐ安全確保)
☐ 自分や他者を傷つける考えが強い/危険がある → 受診・相談を最優先(こころの耳など)
相談先とリソース一覧(社内・医療・公的機関)
ひとりで抱え込まず、社内→医療→公的の順に“つながる先”を用意しておくと安心です。ここでは実際に使える窓口だけを厳選して紹介します(電話番号や検索ページは公的機関の情報に基づきます)。
社内の相談ルート(上司・人事・産業医・EAP)
- 上司・人事:当日の体調・働き方の調整(在宅/時差出勤/有給)を相談。短く事実ベースでOK。
- 産業医:体調と仕事の“折り合い”を一緒に考える専門家。長時間労働や体調不良時の面接指導も制度としてあります。会社に産業医がいない場合は**地域産業保健センター(地さんぽ)**が相談の受け皿になります。
- EAP(従業員支援プログラム):外部カウンセラー等へ匿名相談できる企業サービス。勤務先に導入があれば利用方法を社内ポータルで確認しましょう。
医療機関のかかり方(探し方・準備)
- どこを探す? 厚労省の**「医療情報ネット(ナビ)」から、地域の精神科・心療内科**等を条件検索できます(『こころの耳』の案内ページに入口があります)。
- 受診前の準備:①困っている症状(いつから/どれくらい) ②生活への影響(寝られない/食欲がない 等) ③仕事の状況(残業・人間関係・配置転換 など)をメモ。初診のポイントは厚労省の“こころの医療機関の選び方”にもまとまっています。
公的相談(無料・匿名あり)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(ナビダイヤル)。お住まいの地域の公的窓口につながります(曜日・時間は地域により異なります)。
- こころの耳(厚労省):働く人向けの電話・SNS・メール相談、相談機関の一覧、医療機関検索のリンクを提供。迷ったらまずここ。
- 労働条件相談「ほっとライン」:0120-811-610。賃金・長時間労働・休暇・ハラスメント等の一般相談。平日夕方〜夜/土日祝は昼〜夜に開設(詳細は公式案内参照)。多言語も対応。
- 総合労働相談コーナー(都道府県労働局):解雇・賃金・パワハラ等の面談/電話相談。必要に応じあっせん等の制度も案内。最寄り窓口の検索ページから場所を確認できます。
まとめ
最後に、この記事の要点を行動に移せる形で振り返ります。完璧を目指さず、できることを3つだけ選ぶのがコツです。
72時間回復プランの要点ダイジェスト
- 朝の光×毎日:起きたら1〜5分の光で体内時計を前に進める。
- カフェインは早め・少なめ:午後(目安15時以降)は控える。
- お風呂は就寝1〜2時間前:入浴→放熱で自然な眠気をつくる。
- “助走の60分”を固定:最初は超小タスク3つ+通知オフ。
- 夜は光を弱める:照明は暖色、画面はナイトモード。
当日用ショートチェックリスト
- ☐ 4-4-4-4呼吸×2セット/1分マインドフルネス
- ☐ 水1杯+軽い朝食(たんぱく質+炭水化物)
- ☐ 朝の光/屋外を1駅ぶん歩く
- ☐ 最初の60分=助走タスク3つ/通知オフ
- ☐ ランチ後15分仮眠(15時前まで)
再発防止の週次ルーティン
- 日曜夜のルール:カフェインは夕方で終了、照明ダウン、23時めどに就寝。
- “楽しみの仕込み”:月曜午前に小さなご褒美を置く。
- 週1レビュー:うまくいったことを3つ書き出し、翌週の予定を“助走→本番”に並び替える。
- 頼るクセ:困ったら社内(上司・人事・産業医)/公的窓口へ。迷ったらこころの耳へアクセス。





迷ったら「明日いきなり完璧にしない」を合言葉に。「助走の60分」を用意しておくだけで十分です。